カタール、そしてネパール。山近春佳

ネパールの首都であるカトマンズに到着して4日目。

クラクションの音が鳴り響く少々煙たい道路にも慣れ、スーパーまでの道もすっかり覚えた。そしてとうとう明日には村に出発する。荷物の整理をしながらわくわくする気持ちを抑えきれなかった。



となるはずだった私たち後半組はいまだカタールのホテルで缶詰め生活4日目を迎えていた。

トリブバン空港での飛行機事故の影響で、経由地であるドーハのホテルに宿泊。空港の復活を首を長くして待つことになった。着替えや生活必需品が入ったバックパックは飛行機に積まれ、財布や携帯、パスポートの貴重品が入った小さめのバックだけが私たちの御伴となった。着替えが手に入らないため、同じコーディネートで過ごす仲間たち。幸いなことに私は服を着替えるという行為に強いこだわりがあったわけでもないので、4日間同じ服を着用していることにまったく抵抗がなかった。ただただ辛いのはあんなにも行きたかった、やっと行けると胸を高鳴らせたネパールになかなかたどり着けないことであった。



そして今日は奇跡の日である。気分がどん底まで落ちていた私たちにとって忘れられない1日となった。


朝。

起床は8時過ぎ頃。同室で寝ている友人を起こし朝食のビュッフェに向かう。何種類ものパンとスープ、トマトソースがかかった肉などがずらりと並ぶ。多分この肉は昨日の夜のステーキだろうな、と私は考える。4日目となるとシェフの動向が予測できるようになる。朝食後、まだ飛行機が飛べそうもないという連絡を受け大人しく部屋に戻った。


昼。

企画の詰めをする人、話し合いをする人、各々の過ごし方をしていた。


夜。

1つの部屋に集まって皆でミーティング。


飛行機が飛ぶ見込みはまだなし。メンバーの数人が直接空港へ様子を見に行くことに。残りのメンバーは夕食のビュッフェ会場に向かう。いつものようにお肉や野菜を皿に盛り、空港組の動きを見守りつつ食事に勤しんだ。この日は紫色のゼリーがデザートコーナーに並べられ、奇抜な見た目から注目の的となった。


とつぜんlineが活発に動き出した。

「はやく荷物まとめて」というメッセージが表示され、私たちは食事をする手を止めた。すぐに部屋に戻り荷物をまとめチェックアウトするよう指示が入る。空港で何か進展があったことは一目瞭然であった。優雅な夕食の時間から一転、信じられない早さで荷物をまとめフロントに向かう。普段はリスニングもスピーキングもへっぽこな私であるが、チェックアウトの際は拙い英語をどうにか絞り出した。

どうやら急遽飛行機に乗れることが決まったらしい。しかも後15分で空港に着かなければ次の便は4日後だという。カタールのホテルがバスを用意してくれ、私たちはそれに飛び乗った。何が起こっているのか状況がつかめないままバスは真っ暗な道を走り抜け、私たちは空港に到着した。この時バスの窓から見た夜景は感無量だった。



空港に到着してからは私たちの脚力と冷静な対応が試された。ひたすら走り、パスポートのチェックを受け、ひたすら走り、荷物検査を受け。カタール空港の方の手厚いサポートで順調に飛行機へと近づいていった。感謝の気持ちとネパールに行ける喜びと安心と様々な感情が交錯して夢うつつになった。後半組全員が無事飛行機に乗り込んだ。


とうとうネパールに行ける!!!


隣に座っているネパール人カップルが異様なイチャつきをかましてくるが、そんなことも気にならないくらい私の心は躍動していた。